推しに告白(嘘)されまして。





一体、誰に突然呼び止められたのか。

私を呼び止めるのは、大体風紀委員の生徒だ。
トラブル対応や、聞きたいことなどで、文化祭期間中、何度も何度も声をかけられてきた。
だが、今、私に声をかけている者は、風紀委員の生徒の声でない。

不思議に思いながらも、振り向くと、そこにはやはり面識のない女子生徒2人が立っていた。



「きゅ、急に声をかけてごめんなさい!けど、緊急で!」

「た、助けてください!先輩!」



今にも泣き出しそうな顔で、必死に訴える女子生徒たちに、ただならぬ何かを感じ、私は「どうしたの?」と、とりあえず話を聞く体勢に入る。



「わ、私たちは一年進学科で、白雪王子という舞台をやるクラスの者です」



すると、必死に涙を堪え、顔面蒼白で、こちらをじっと見つめる女子生徒の1人が、事態の説明を始めた。
彼女から出た〝白雪王子〟という言葉に、私はすぐに千晴の姿を思い浮かべた。



「先輩もご存知だとは思いますが、白雪王子の主役は、うちのクラスの千晴くんでして…」



そこから始まった女子生徒2人による必死な説明内容はこうだった。