「…んん、ごめん。まさか直接食べてくれるとは思わなくって、驚いちゃって…」
収まらない頬の熱を何とか静めようと、スプーンを一旦机に置き、パタパタと両手で顔を仰ぐ。
そんな私をじっと見つめ、きょとんとしている悠里くん。
しかし、少し経つとその頬は私と同じように徐々に赤くなり始めた。
「あ、そういうことか。ごめん、俺、勘違いして…」
本当に恥ずかしそうに視線を伏せる悠里くんに心臓がドンドコドンドコうるさい。
お祭り騒ぎだ。
「…でも、柚子から食べられたのはよかったかも」
伏せていた視線を上げ、上目遣いで私を見る悠里くんは本人はその気がなくとも、すごく可愛らしく、あざとかった。
こんなの世界が彼にひれ伏してしまう。
「だ、ダメだ…」
「あ、新しい扉を開いちまう」
「好き…。悠里くん…」
私の予想通り、この可愛すぎる悠里くんを浴びて、吸血鬼カフェは、悠里くんへのときめきで包まれたのであった。



