ねぇ、星見ませんか?

フハッと思わず笑ってしまった。そしてハッとする。私、この学校に転校してから笑ってなかったな……。

「俺、星座の神話とかあんまわかんないけど、地学のことならまあわかるからさ」

「……わかった。星見るよ」

そう答えると星野くんは嬉しそうに笑う。まるで褒められた大型犬だ。

「星見よう」なんてすごい台詞だ。きっと前の学校にいた私なら、そんな言葉についていかなかっただろう。だけど今は、歩み寄ってくれたクラスメートと関わりたいと思った。



数日後。この日は流星群が見れるとニュースで報道され、普段星なんて興味なさそうな人たちでもSNSで「絶対見る」と騒いでいた。

放課後、私は星野くんと屋上へ上がる。屋上には私たちしかいない。

「あれ?他の部員は?」

「二人は用事があって来られないんだって。貴重な流星群なのにな〜」

星野くんはそう言いながら星を見るための望遠鏡などをセットし始める。とても手慣れていた。

「星、よく見るの?」