あなたがいないと、息もできなかった。




 五年目の春。

 透真は地方の企業支援プロジェクトに関わるようになり、久しぶりに地元の近くへ出張することになった。

 予定表を確認しているとき、不意に「この図書館、昔奏音が好きだった場所だ」と思い出す。

 何となく足が向いていた。

 もしかしたら、何もないかもしれない。
 偶然の出会いなんて、都合がよすぎる。
 でも──会いたかった。

 できることなら、一目でいい。
 今の自分を見せたい。
 「強くなったよ」と、笑ってほしかった。