「それと、事件のことについて新しいことを知りましたので」鈴原さんは声を低めて、内緒話をするかのように身を乗り出した。
新しいこと―――……?
「実は俺の知り合いに雑誌の記者が居まして、そいつに色々聞いたんですよ。警察はどこまで把握してるか分かりませんが、俺たちにあまり詳しく教えてくれないので」
「……ええ」と私も同意した。「それで…」
「灯理さんは七年前に起きた“L事件”と言うものをご存じですか」
L事件―――………?
言われてもぴんとこなかった。
鈴原さんは自分のスマホを私に見せてくれて
「七年前から連続して起こってる殺人事件ですよ。被害者は全員若い女性で、何故か現場に“L”と“★”を残している」
確かに鈴原さんが見せてくれた記事には彼が説明をくれた通りのことが書かれていて、何となく思い出せた。確か……被害者は三名だった…筈。
「あの……これが何か…」
「陽菜紀の犯行現場にもこれと同じものが残されていたらしいです」
鈴原さんは真剣に言って、私は目を開いた。
「え―――……でも刑事さんは何も……それにそんな報道もされていないですよ…」
「どうやら警察の規制線が張られているようです。この情報は流すな、と」
「どうして……?」
「犯人の目ぼしがついていて、そいつを下手に刺激しないように……なのか、或はその逆で敢えてその事件だと騒がないでいると目立ちたい犯人がボロを出すかも…?」
「目立ちたい……?ボロ…?」
意味が分からず目をまばたくと
「だってこんなメッセージみたいなものをわざわざ残すなんて、承認欲求が強い人間ですよ、きっと。俺はこの犯人がマスコミを利用して犯行を自慢したいのだと思います」
「なるほど……でも今回このことには触れられなかった。だから自ら何かをするかも……と言うことですね」
「まぁあくまでその記者と俺との考えなんですが、流石に警察が何を考えて沈黙しろと言ってきているのかまでは分からなかったようです」
「では…陽菜紀は通り魔的な犯人に寄って殺された可能性が高いと…?それとも突発的な犯行ではなく、計画的な連続殺人だと……?」
「分かりませんがその線も濃くなってきています」
「だとしたら何故陽菜紀が狙われるんでしょうか。だってあのマンション、セキュリティもしっかりしているし、そもそも陽菜紀は見ず知らずの人を簡単に家に上げるでしょうか」
一気に疑問が押し寄せてきて、思ったことが次々と口から出てくる。
「陽菜紀はSNSで人気だったし、そこで目をつけたのかもしれませんね。家に上げるのは宅配業者なんかを装えば簡単に行きますよ」
なるほど。鈴原さんの言葉は説得力があった。



