■□ 死 角 □■


曽田刑事です。曽田は不良刑事。お世辞にもかっこいいとは言えず、どちらかと言うと粗野な感じ。彼の相棒、久保田から小言を言われ続けうんざりしながらも、久保田のことをそれなりに信頼している、気の良い先輩刑事です。

彼は一連の“L”事件を通して、灯理に心惹かれていきます。灯理の素直で純粋な部分に触れ、鈴原とは違った愛情を灯理に向けます。

最初は土足で自分の内側に入ってこようとする曽田刑事のことを良い様に思っていなかった灯理ですが、事件を通して曽田の無骨ながらも優しい、不器用な彼のことを意識しはじめるのです。

冒頭では灯理にとって偶然とは言え居合わせた鈴原がとても印象的で、灯理は彼のことを意識しだします。しかし彼は陽菜紀のことを好きだと思いこみ、なかなか自分から行動を起こせません。

後半部分は、やや乱暴と言える曽田の…灯理の周りに居なかったタイプだったからかもしれませんが、曽田刑事のことを考えるようになります。

鈴原と曽田、二人もまた相反するタイプの男で、灯理はその中で揺れ動きます。

さて、最後は陽菜紀のことを語りましょう。

陽菜紀はSNS依存症でした。幼少期から自分の魅力を知り尽くしていた陽菜紀は絶対的女王の立場を守るため、常に人からの人気を求めていました。

そのSNSを逆手にとって、優子を利用し夫にハニートラップを仕掛けます。陽菜紀の目的はこの時点でただ一つ。『財産』です。

しかし皮肉にもそのSNSこそ、鈴原がトリックに利用されます。

“SNS依存症”とは書いた当初割と新しい言葉でした。昨今ではインスタグラム、ちょっと前はFacebook、長年使われているのはX(旧Twitter)と思っている作者ですが、私自身SNSデビューは遅かったです。

十年程前からX(旧Twitter)をはじめました。幸いなことに私は「依存症」とまで行かず、言い方を良くすればマイペース、悪くすればズボラと言う感じです。毎日Xを開かないし、自分が思ったときに思ったことをちょろっと書く。それに自慢できる日々を送っているわけでもない、と言った所が大きな理由でしょうか。

話が逸れて申し訳ございません。この作品を書いていて改めて実感したのはミステリに限らず小説もまた「生もの」だと言うこと。

ある程度流行に乗って、変化する世の中を描くことも大切だと言うこと。もちろん古き良き時代のものも大切だと思いますし、自分も昭和生まれの人間ですので「あの時代は…」とよく口にします。性格的には曽田寄りですね。

しかし、この作品ではより鮮度の良いものの、光と影をうまく利用させていただきました。

さて最後の最後。

灯理は一貫して頼りなげで繊細で、周りの男性から「守ってあげたい」と思わせる女性ですが、ラストは誰よりも灯理が怖い、と感じていただければ幸いです。

灯理の中にも“善”と―――そして悪……『死角』は存在します。

ラストシーンで、灯理が姿見に語りかける場面は「灯理は狂ってしまったのだろうか」と思われた方々も多いと思いますが、作者の私はには彼女が正常であることを知っています。

何だか意味深な終わり方をしました。沙耶香は目覚めるのか、優子や麻美の行く末は、好未は命を取り留めるのか、そして―――灯理はどこへ行こうとしているのか。

それは読者の皆様のご想像にお任せいたします。


長い……長い―――「あとがき」になってしまい大変申し訳ございません。

この「あとがき」を書くだけでも三時間ほど要しました。つまりそれ程私の中で強い思い入れがあった作品と言うことです。

この「あとがき」もここまで読んでくださってありがとうございました。

また、作品を読んでくださり、いいねを押してくださった皆様に感謝いたします。

これからも私はミステリを書きたいと思っています。それは生ものなのか、それとも古き良きものなのか、始まるまでのお楽しみにとっておいてくださいませ。

それではまた次の作品でお会いできるのを楽しみにお待ち申し上げます。
X(旧Twitter)で「■□ 死 角 □■」のスペシャルムービーも流しています。広告用に作ったのですが、ご興味がある方は是非。


2025年 8日 3日
         魅洛