さて、灯理の周囲に居た友人たちが次々と事件や事故に巻き込まれ、その度に表と裏の顔を知ることになった灯理ですが
主人公である灯理は、書いている私もなかなか掴めない登場人物でした。
いえ、掴めないとは語弊がありますね。
私の他の作品では女性は何かしらの強さを持っています。
ある作品は頭脳、そしてまたある作品は仕事、はたまた力だったり行動力だったり。その一点を誇張して人物像を創り上げるのは楽ですが、どれをとっても平均値…つまりは平凡な灯理は難しかったです。“普通”程難しいものはないですね。
しかし芯はしっかりとしていて、戸惑いながらも時折、他の友人たちの誰よりも強い部分が見え隠れします。
“普通”と言えば、鈴原も割と一般的なサラリーマンです。飛び抜けてかっこいいわけでもなく、スマートでもなく、年収も平均。ただし何かしら惹かれるものがある。
こちらも書いているときは少し苦労しました。女性と同じく私の書く小説は男性も強い部分が何かしらあるわけで。
鈴原の場合「野心家」とは少し種類が違いますが、彼は灯理を手に入れるために、巧妙に事件を操り、やがて灯理を手に入れようともくろみます。一途度で言えば、他のどの作品よりも一番強いのかもしれません。
何せ、灯理の為、四件も事件を起こした殺人鬼です。ただ鈴原の場合、その“悪”の部分がまるで鏡に映って反転した“善”になるように、そこに強い思いがあったからこそです。灯理こそ彼の唯一の支えであり、想い出は美しく、そして再会したときも美しい想い出のまま灯理は色あせることなく鈴原の目にきれいに映ったのです。
難しいですが、気持ちが大きかったので彼の場合、殺人は全て灯理を想って…つまり彼にとって“善”
そして灯理にとって鈴原は、自分の為に無関係な人々を殺めた鈴原こそが“悪”
ある意味最後まで善悪がハッキリしているのはこの作品かもしれません。
さて、話は戻りますが一番書きやすかったのは意外とこの人物。



