誘ってくる女の軽さに驚いたのと同時に、恐ろしいまでの憎悪を抱くようになったと言うのだ。
『中瀬さんはこんな軽い女じゃない』
私は鈴原さんの話を聞きながら思わず顔を背けた。いっそ事実から目を背けたい気持ちを抱いたが、そんな理由ですでに三人も亡くなっている。
そう、“そんな”理由だ。私にとっては―――
狂っている―――……
この人は。
そう実感した。
「三人目の……北海道の専門学生だったか、あの女に関してはオトコも居たのにその上、俺を誘ってきて。もっとも忌むべき存在だ。君に似た女性を探していたつもりが、俺が嫌っていた母親そっくりに見えたよ。
考えたら君は高潔で、良識があり、最初からそこらへんの売女と一緒にしてはいけなかったんだ」
鈴原さんの意見に私はゆるゆると首を横に振った。
私は―――鈴原さんの思うような女じゃない。高潔でもなければ良識もない。鈴原さんが言う売女と一緒だ。
だって私は鈴原さんとデートしながら、
曽田刑事さんのことを―――考えていた。
「殺した後は、俺のフリーメールの捨てアドレスも全て削除した。当然履歴は残っていない。元々アドレスを作ってメールのやりとりなんかは全て漫画喫茶でやったから、そこでは多くの客が利用するわけだし、店側も一々客の身元なんて確認しないしね。足がつくことはなかった」
なるほど。
なんて狡猾な……鈴原さんは他の女性に目を向ける、と言ったけれど最初からその気なんてなかったのじゃないか、とすら思える。
「けれどどうしても君に伝えたかった」
鈴原さんが顔をあげ、その切れ長の瞳をゆらゆら揺らした。
私は鈴原さんに分からないぐらい小さく吐息をつき
「それが“L”と“★”のメッセージね」
あのメッセージには鈴原さんの“愛”が籠っていた。
それも酷く歪んだ、異常な形の。



