■□ 死 角 □■


そのブログは可愛らしいピンクのレースやリボンで淵が飾られていて、見るからに若い女の子が好みそうなものだった。久保田刑事さんが「そこそこ人気」と言った理由がコメント欄を見て気づいた。それは麻美ちゃんが“愛 ひなこ”として活動している様子を応援しているものだったり、作品への感想、「どれも素晴らしかった」と称賛するものがほとんどだった。

「それにしても“愛 ひなこ”って……」と隣で紙を覗きこんでいた鈴原さんが眉をしかめる。

「この由来は本人の旧姓相田からもじったもので“愛”を。そして“ひなこ”ですが、これはご想像の通り片岡 陽菜紀から拝借していた模様です。
本人は学生時代それほど片岡 陽菜紀と親密な関係じゃなかったようですが、やはり絶対的女王の存在に憧れがあった、と」

私は口を半開きにして、間抜けに頷くしかできなかった。確かに麻美ちゃんの夢は作家だと言っていた。けれど予定外の妊娠と結婚があったと聞き、夢を実現したのかどうかは聞きそびれた。

「あの……麻美ちゃんの活動は分かりました。けれどこれが沙耶ちゃんの転落にどう関係が…?」と目だけを上げて聞くと、今度は曽田刑事さんが
「先ほども言った通り、“愛 ひなこ”の人気は低迷していました。その理由に近年、大手の無料小説サイトが多く登場したことにあります。“愛 ひなこ”の人気が落ちてきて、本人も焦っていたようです。
それに本来は恋愛小説ではなくミステリーを書きたかったと。それで今回の片岡 陽菜紀の事件に目を付けたようです。ミステリーではなく、ノンフィクションとして。
これが売れれば人気は回復。うまくいけば出版も夢じゃない、と思ったらしいですよ」

そんな―――………

麻美ちゃんは陽菜紀の不幸を自分の夢のため、利用しようとしていたの……?

陽菜紀のお通夜のとき、優ちゃんがお通夜の様子をSNSにアップしていたことを「不謹慎だ」と非難していたのに、これじゃ優ちゃんとやってること一緒だよ。