恋とバグは仕様です。 ~営業スマイルで喧嘩して、恋に落ちるまで~



05|指輪のログイン画面

 夜。

 ふたりで小さなケーキを分け合いながら、凛がぽつりとつぶやく。

「……最初、結婚って“自分が誰かの所有物になる”みたいで嫌だったんだ」

「それは、お前の仕様に“自由”ってフラグがあるからだな」

「そうかも。でも今は──“所有”っていうより、“選び合った”って感じ」

「そう思ってくれるなら、俺もこの指輪、毎日つける意味があるよ」

 ふたりは、PCのパスワードを入力するように、
 お互いの“気持ち”を確認し合うように、指輪をなぞった。

 ──心にログインしてくるのは、たった一人の、確かな“ユーザー”だった。



             終わり