03|“仮想”より緊張する夜
そして、その週末。
「……ほんとに、来るの?」
「来てほしいって言ったの、お前だろ」
「でも“家でまったり映画観る”って、……普通にカップルじゃん。仮想じゃなくて」
「うん。本物のカップルだからな?」
「……まだ“お試し”でしょ?」
「じゃあ今日から“ベータ版恋人”ってことで」
凛の部屋に、遥人がやってきた。
私服姿の遥人は、普段よりも少しラフで、優しげだった。
「この映画、お前好きだろ?」
「……覚えてたの?」
「お前、仕事の合間によくこっそり予告観てただろ。隣の席だったし、バレてたよ」
「え……うわ、恥ずかしい……!」
「俺だけが知ってる凛、いっぱいある」
その声は、やわらかく低くて──
映画の音なんて耳に入らなくなるほど、心が揺れる。



