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朝食後、いつものように学院へと向かう準備を済ませ、セオドアとレイラ様と一緒に玄関ホールまで移動すると、そこには今日もある人物がいた。
「やあ、おはよう」
玄関ホールにある無数の窓から射す朝日を浴び、キラキラと輝く白銀にも見える銀髪。
こちらを優しく見つめる黄金の瞳に、全てが宝石のような輝き放つ、人形のように整っている美しい人。
玄関ホールで今日もこちらに柔らかく微笑んできた人物はウィリアム様だった。
「おはようございます、ウィリアム様」
「おはよう、ウィル」
ウィリアム様に挨拶をされて、セオドアが無表情にだが礼儀正しく、レイラ様がにこやかに砕けた口調で挨拶を返す。
そんな2人に続く形で私も「おはようございます」と柔らかく微笑んでウィリアム様に挨拶を返した。
「ウィル、今日もいい天気ね」
「ああ、そうだね」
「ふふ」
「ん?どうしたの?」
「いやアナタはずっと変わらないわね」
「そう?」
王子様のようなウィリアム様に女神のようなレイラ様。
優しく微笑み合う2人は本当に絵になり、お似合いだ。
レイラ様がアルトワ伯爵家に帰ってきて以来、ウィリアム様は毎日のように私を送迎するようになった。
理由はおそらく自分の本当の婚約者であるレイラ様にこうやって会う為だろう。
学院へ行く私とセオドアをレイラ様はいつも玄関ホールまで見送り、学院から帰ってきた時もここで出迎える。
学院へは通えないレイラ様にウィリアム様が会う為には、ウィリアム様自らここに来るしかなかった。
私との婚約関係中は身分が私の方が下だという理由で、基本私の方からウィリアム様の元へ向かっていたのだが、本当に大切な人の前ではウィリアム様も身分など気にしないらしい。
微笑み合い、まだ何か話している2人を見て、やはりホンモノは違うなぁ、としみじみ思っていると、ウィリアム様がこちらに視線を向けた。



