その言葉は、不意に彼の口から飛び出していった。

「未来先輩、好きです」

理科室が一瞬にして静かになる。未来がほうきを落とした音が恭介の耳に響いた。

「えっ……」

未来の顔は真っ赤に染まり、その手は小刻みに震えていた。恭介が口を開こうとすると、未来が早口に言う。

「こ、告白なんて初めてだよ！返事、ちょっと待ってくれない？」

「はい。ずっと待ってますから」

素敵な未来になるといいな。そう恭介は胸を高鳴らせながら思っていた。

しかしその一週間後、未来は恭介に返事をする前に交通事故でこの世を去った。



部長である未来が亡くなったため、科学部はずっと活動をしていない。掃除する人がいなくなった理科室は薄汚れている。

「先輩……」

嗚咽混じりの声が理科室に響く。どれだけ泣いてもこの悲しみは消えない。心はマイナスな感情が溜まった飽和状態だ。

「何で先輩が……！」

もう未来はこの世界に存在しない。この理科室にフラッと現れることはない。