未来のその笑顔に恭介は恋に落ちた。そして部活見学で科学部へ行き、そのまま入部したのである。



未来は科学のことになると目を輝かせ、誰よりも熱心に実験などに取り組む人だった。部活が休みの日でも一人で実験をし、恭介に報告をしたくらいだ。

「恭介くん!これ見て!」

「綺麗な溶解度曲線ですね。グラフ、自分で作ったんですか?」

「うん。自分で作った方が覚えやすいから」

「未来先輩はすごいですね」

知れば知るほど、関われば関わるほど、恭介は未来のことが好きになっていく。胸の中が燃えるような赤に染まる。

季節は変わり、恭介は二年生になった。三年生になった未来は科学部の部長になり、張り切っていた。

「よ〜し!私が部長になったからには、もっと色んな実験をするぞ〜!」

「危ないのはやめてくださいよ」

理科室の掃除をしながら二人で笑う。今日は部活はない。二人きりだということに今更ながら恭介は胸の高鳴らせていた。