なかなか動かない恭介に痺れを切らしたのか、未来が恭介の手を掴む。その手は優しいもので、恭介の胸の中に安堵が込み上げてくる。

「ほら、早く行こう。保健室?トイレ?」

「ト、トイレで……」

未来はトイレまで付き添ってくれた。トイレから恭介が出た後も待っていてくれていたのである。

「あの、ありがとうございます」

「もう平気なの?」

「まだお腹は痛いですけど、さっきよりはマシです」

「はい。保健室行くよ〜」

未来に手を引かれて保健室に連れて行かれる。その道中、恭介と未来は自己紹介を交わした。

「恭介くんは部活何にするとか決めてるの?」

「いや、まだ何も決めてないです」

その一言に未来は目を輝かせた。

「じゃあさ、科学部入らない?科学部楽しいよ!」

「か、科学部ですか?」

未来は科学部の部員らしく、科学部の魅力を熱く語る。色んな実験をしたり、科学館に遊びに行ったりするらしい。

「楽しいから見学だけでも来てほしいな!」