「はい。今から軽く自己紹介をしてください」

初めてのホームルームで担任となった先生が言う。出席番号が早い順から名前と出身小学校を言っていくことになり、一人ずつ立ち上がって話していく。

一人、また一人と自己紹介をしていく中、恭介は机に突っ伏していた。両手を腹部に当て、額には脂汗が滲んでいる。

（痛い……！急にお腹が……！）

腹痛は徐々に酷くなっていく。耐えられず恭介は手を挙げた。

「先生すみません。保健室に行かせてください」

「大丈夫か？顔色が真っ青だぞ」

先生に心配をされ、クラスメートたちからの視線を感じながら恭介は教室のドアを開けて外に出た。廊下を一歩ずつ歩く。恭介の口から荒い息が漏れた。

（痛い……。誰か……）

その場に崩れ落ちそうになった時、凛とした声が響く。

「大丈夫……じゃないね。ほら、さっさとトイレか保健室行きなよ」

顔を上げれば女子生徒がいた。新入生である一年生はまだホームルーム中のため、ここにいるのは先輩なのだと恭介はわかった。