女性は椅子からゆっくりと立ち上がった。これから言うことは、立って言うべきこと。それが最低限の礼儀だとでも言わんばかりに。
どうやら、彼の懸念は杞憂だったらしい。身の上話する雰囲気ではなさそうだ。彼は真顔で女性を眺めた。
「め、迷惑かけて、すみませんでした。た、助けて、くださって、あ、ありがとう、ございました」
腰を折って深く頭を下げられる。人の旋毛を、上から見下ろすような角度で見るのは二回目である。
遠くの方でパトカーのサイレンが聞こえ始めた。彼は女性には何も言わずその場を移動し、後輩が警察に通報する際に使用した子機に手を伸ばす。もうじき警察が現着する。外で必死に裸の男を押さえ込んでいる後輩にも加勢が入るだろう。自分が男二人や女性から目を離して別のことをしても問題ないはずだ。
強盗犯に全裸男。彼自身は連続殺人鬼。ここは意外と治安が悪いようだ。自分が犯罪者であるがために、自分と同じ犯罪者たちが自然と引き寄せられてしまうのだろうか。
そんなスピリチュアルにも似た馬鹿げたことを思いながら、彼は深夜であっても構うことなく、自宅で休んでいるであろう店長に電話をかけた。
どうやら、彼の懸念は杞憂だったらしい。身の上話する雰囲気ではなさそうだ。彼は真顔で女性を眺めた。
「め、迷惑かけて、すみませんでした。た、助けて、くださって、あ、ありがとう、ございました」
腰を折って深く頭を下げられる。人の旋毛を、上から見下ろすような角度で見るのは二回目である。
遠くの方でパトカーのサイレンが聞こえ始めた。彼は女性には何も言わずその場を移動し、後輩が警察に通報する際に使用した子機に手を伸ばす。もうじき警察が現着する。外で必死に裸の男を押さえ込んでいる後輩にも加勢が入るだろう。自分が男二人や女性から目を離して別のことをしても問題ないはずだ。
強盗犯に全裸男。彼自身は連続殺人鬼。ここは意外と治安が悪いようだ。自分が犯罪者であるがために、自分と同じ犯罪者たちが自然と引き寄せられてしまうのだろうか。
そんなスピリチュアルにも似た馬鹿げたことを思いながら、彼は深夜であっても構うことなく、自宅で休んでいるであろう店長に電話をかけた。



