突っ込みどころが多すぎる。何から処理していけばいいのか分からなくなってしまいそうなほどにカオスな状況だった。

 しかしながら、どこからどう見ても不審者でしかない、布切れ一つ身につけていない男を追い出して捉えつつ警察に通報することが何よりも先であることは間違いない。強盗の時と同様、この件についても店長に報告する必要もあるだろう。

 店長に伝えるのはともかく、また警察沙汰になってしまうのかと溜息が漏れそうになる。裏で人を殺している以上、自分が加害者ではなくとも警察と接触することは避けたいのに、公共の場を全裸でうろつき回り、おまけに女性を追いかけ回すようなとち狂った変態男のせいで避けたくても避けられなかった。

 直近で殺したあの性犯罪者の父親のものを片したように、恥ずかしげもなく披露してくれている大事なものを踏み潰してぶった斬って食わせてやりたくなったが、普通のコンビニ店員はそんな暴力的なことはしない。

 彼は全裸の男にも、自分を盾にする女性にも動じることなく口を開いた。

「やばいやばい言ってないで警察に通報してくれるとありがたいんですが」

「え、俺っすか?」

「やばいやばい言ってるのは一人しかいませんよ」

「警察だと? 俺は何も悪いことしてねぇだろ」

「自分が全裸なこと忘れてるんですか。そんな姿で反論されても説得力なんて皆無ですよ」

 異常事態であるはずなのに、どことなく緊張感の感じられない異常事態だった。全裸の男が攻撃的ではないからだろうか。

 彼もなぜ自分が、男たちのボケとも言えないようなボケに突っ込んでいるのか分からなくなりかけていた。見るに堪えないコントでも始まっているのか。

「男の店員と話しても仕方がねぇ。俺はそこの女に、俺のこの身体を見てほしいだけなんだよ」