望んでいた死が近くなったことで高揚しているのか、変なところで自信を持って発言してみせる女子は、珍しいタイプの自殺志願者なのではないかと彼は思った。
即座に断言するほどに強い意思を感じる返事を聞いた彼は、即答するためにベッドに上がり、死を待ち望む女子に歩み寄る。苦しませずに殺す。難しそうだが、急所を狙えば問題ないだろうか。
女子の前に片膝をつく。頭か首か心臓か。どこでもいいだろうが、全部を順に傷つければ確実に殺せるはずだ。彼は包丁を握り直した。
「あ、ちょ、ちょっと、待ってください」
さっさと手にかけてしまおうとしたところで、何かを思い出したかのように止められる。まだ何かあるのかと彼は無言で女子の顔を見つめた。女子は不快な汚物を見た時のような表情を浮かべて唇を開いた。
「その包丁、彼奴の体液とか、付いてますよね……? 違うのにできませんか……?」
殺す寸前で新たな要望を追加され、彼は殺戮の証となっている包丁に目を向けた。確かに、既に死んだ父親の血液だったり精液だったり唾液だったりが付着している。最後には股間まで切り落としている。目の前の女子が嫌悪するのも無理はない。
「構いませんが、他に拾ってきた凶器では頼りないと思います」
文句を言わずに包丁を投げ捨てた彼は、ズボンのポケットを弄る。ゴミ屋敷から発見し、念のためにと拾っていたカッターとハサミを取り出して見せた。女子はそれらを見るや否や、それでいいです、あの包丁じゃなければ何でもいいです、と凶器に使用するには少々頼りないように思える文房具で殺されることを即決する。
これは彼の力量が試されていた。包丁よりも攻撃力は低いだろう文房具で、苦しませることなく死に至らしめなければならない。それが今回の標的の希望である。
即座に断言するほどに強い意思を感じる返事を聞いた彼は、即答するためにベッドに上がり、死を待ち望む女子に歩み寄る。苦しませずに殺す。難しそうだが、急所を狙えば問題ないだろうか。
女子の前に片膝をつく。頭か首か心臓か。どこでもいいだろうが、全部を順に傷つければ確実に殺せるはずだ。彼は包丁を握り直した。
「あ、ちょ、ちょっと、待ってください」
さっさと手にかけてしまおうとしたところで、何かを思い出したかのように止められる。まだ何かあるのかと彼は無言で女子の顔を見つめた。女子は不快な汚物を見た時のような表情を浮かべて唇を開いた。
「その包丁、彼奴の体液とか、付いてますよね……? 違うのにできませんか……?」
殺す寸前で新たな要望を追加され、彼は殺戮の証となっている包丁に目を向けた。確かに、既に死んだ父親の血液だったり精液だったり唾液だったりが付着している。最後には股間まで切り落としている。目の前の女子が嫌悪するのも無理はない。
「構いませんが、他に拾ってきた凶器では頼りないと思います」
文句を言わずに包丁を投げ捨てた彼は、ズボンのポケットを弄る。ゴミ屋敷から発見し、念のためにと拾っていたカッターとハサミを取り出して見せた。女子はそれらを見るや否や、それでいいです、あの包丁じゃなければ何でもいいです、と凶器に使用するには少々頼りないように思える文房具で殺されることを即決する。
これは彼の力量が試されていた。包丁よりも攻撃力は低いだろう文房具で、苦しませることなく死に至らしめなければならない。それが今回の標的の希望である。



