ただ、恐らく今回は、激しく抵抗するであろう相手がいる。殺傷能力の高い凶器を事前に準備しておくに越したことはない。
どこの家庭にもあるもので、殺しによく使用されるものは、やはり包丁だ。彼は洗い物が残されている台所で包丁を探し出し引っ掴んだ。どこにでもある普通の包丁である。切れ味がいいかは分からなかったが、使い古されていても切れないことはないはずだ。
その他、ゴミの中に埋もれてしまっていたカッターとハサミを発見した彼は、念には念を入れ、それらをまとめてズボンのポケットに押し込んだ。
凶器探しも程々にして、彼は二階で殺されるのを待っている女子の元へ、ようやくその足を進める。
できるだけ音を立てずに階段を上り、二階の廊下を踏んだ。荒々しい怒号や悲痛な叫び声、人が出す生活音のようなものが部屋の中から響いている。虐待を受けていると聞いていたが、今がその虐待の最中だと言わざるを得ないような声や音だった。
彼はドアノブを握り、捻った。鍵はかけられていない。包丁を持ち直してから静かに開けると、二人の人間がベッドの上で絡んでいるのが真っ先に目に飛び込んできた。
全裸で腰を振り咆哮を上げていた男が、何かの気配に気づいたかのように咄嗟に動きを止め、俊敏な動作で出入り口を振り返る。目が合った。彼は眉一つ動かさずに歩き出した。
「……誰だお前。何人ん家に許可もなく入ってきてんだよ」
何も知らない男からすればごもっともな問いだが、女子の中におっ立てたものを突っ込んでいる状態で言われてしまうとあまりにも間抜けに見えてしまった。情けなくて汚い尻である。その尻を持つ人間は、実の娘を強姦している性犯罪者である。
彼は父親から逃げられずにいる女子の傍らに立ってその姿を見下ろし、自分の正体を婉曲的に明かした。
どこの家庭にもあるもので、殺しによく使用されるものは、やはり包丁だ。彼は洗い物が残されている台所で包丁を探し出し引っ掴んだ。どこにでもある普通の包丁である。切れ味がいいかは分からなかったが、使い古されていても切れないことはないはずだ。
その他、ゴミの中に埋もれてしまっていたカッターとハサミを発見した彼は、念には念を入れ、それらをまとめてズボンのポケットに押し込んだ。
凶器探しも程々にして、彼は二階で殺されるのを待っている女子の元へ、ようやくその足を進める。
できるだけ音を立てずに階段を上り、二階の廊下を踏んだ。荒々しい怒号や悲痛な叫び声、人が出す生活音のようなものが部屋の中から響いている。虐待を受けていると聞いていたが、今がその虐待の最中だと言わざるを得ないような声や音だった。
彼はドアノブを握り、捻った。鍵はかけられていない。包丁を持ち直してから静かに開けると、二人の人間がベッドの上で絡んでいるのが真っ先に目に飛び込んできた。
全裸で腰を振り咆哮を上げていた男が、何かの気配に気づいたかのように咄嗟に動きを止め、俊敏な動作で出入り口を振り返る。目が合った。彼は眉一つ動かさずに歩き出した。
「……誰だお前。何人ん家に許可もなく入ってきてんだよ」
何も知らない男からすればごもっともな問いだが、女子の中におっ立てたものを突っ込んでいる状態で言われてしまうとあまりにも間抜けに見えてしまった。情けなくて汚い尻である。その尻を持つ人間は、実の娘を強姦している性犯罪者である。
彼は父親から逃げられずにいる女子の傍らに立ってその姿を見下ろし、自分の正体を婉曲的に明かした。



