前回の自殺志願者は失敗作だった。今回の本命の方はすんなり殺させてほしいものである。そうではない人間がいた場合には少々手がかかってしまいそうだが、殺すことに変わりはない。女子の言葉を借りるのなら、必ず殺す。
これまでと違って、現場には死にたがってはいない人間がいる可能性があるため、いつも以上に気を引き締めて、緊張感を持って、油断することなく挑む必要があった。分かってはいるが、それでも、一度に二人も殺害できるかもしれないという高揚感が胸を弾ませている。彼の外側は冷静に見えるが、内側は興奮して熱くなっていた。この時間は、彼の人生に潤いを齎してくれるのだ。
女子の家の窓からは明かりが漏れている。一階も二階も電気が点いているため、女子のみならず父親もいるであろうことがほぼ確定する。
彼は足元に気をつけながら玄関へと向かい、人気がないことを確認してから扉に手をかけた。そこに躊躇いはなかった。彼はまるで自分の家に帰って来たかのように扉を開ける。引っかかることなく簡単に動いた。
不法侵入をするのは初めてだが、この家に住んでいる人から許可を得ているのだから、これは不法な侵入にはならないだろう。彼は誰にともなく屁理屈を思い浮かべ、インターフォンも押さず、声掛けもせず、他人の家に足を踏み入れた。
入った瞬間、臭った。生ゴミのような臭いだった。思わず鼻を押さえてしまいながらも、彼は歩みを進めた。足が何かを蹴った。ガサ、とナイロン袋が擦れるような音がした。玄関は暗い。ここに灯りは届いていない。目を凝らしてみると、玄関付近にはいくつものゴミ袋が溜まっていた。定期的なゴミ出しをしていない家のようだ。臭いの元はこれで間違いない。長時間の運転の元を取りたいが、あまり長居はしたくない家であった。
これまでと違って、現場には死にたがってはいない人間がいる可能性があるため、いつも以上に気を引き締めて、緊張感を持って、油断することなく挑む必要があった。分かってはいるが、それでも、一度に二人も殺害できるかもしれないという高揚感が胸を弾ませている。彼の外側は冷静に見えるが、内側は興奮して熱くなっていた。この時間は、彼の人生に潤いを齎してくれるのだ。
女子の家の窓からは明かりが漏れている。一階も二階も電気が点いているため、女子のみならず父親もいるであろうことがほぼ確定する。
彼は足元に気をつけながら玄関へと向かい、人気がないことを確認してから扉に手をかけた。そこに躊躇いはなかった。彼はまるで自分の家に帰って来たかのように扉を開ける。引っかかることなく簡単に動いた。
不法侵入をするのは初めてだが、この家に住んでいる人から許可を得ているのだから、これは不法な侵入にはならないだろう。彼は誰にともなく屁理屈を思い浮かべ、インターフォンも押さず、声掛けもせず、他人の家に足を踏み入れた。
入った瞬間、臭った。生ゴミのような臭いだった。思わず鼻を押さえてしまいながらも、彼は歩みを進めた。足が何かを蹴った。ガサ、とナイロン袋が擦れるような音がした。玄関は暗い。ここに灯りは届いていない。目を凝らしてみると、玄関付近にはいくつものゴミ袋が溜まっていた。定期的なゴミ出しをしていない家のようだ。臭いの元はこれで間違いない。長時間の運転の元を取りたいが、あまり長居はしたくない家であった。



