彼は室内灯を消し、ハンドルを握った。出入口を右です、とシートベルトを身につけながらナビするカナデに従い、アクセルを踏み込む。

 カナデに食事に誘われ、今日を迎えるまでの期間は三週間程度空いていた。二人の休日が被らなかったり、強盗の被害に遭った後処理で慌ただしくしていたり、その際に打たれてできた傷、とりわけ口内の傷の治りが遅かったりで、なかなか都合がつかなかったのだ。

 コンビニも数日は臨時休業となったが、今は通常通り営業している。強盗犯も、まだ全員ではないが、一人は捕まっている。長身の男である。自分を殴った男である。同性でも頭一つ分くらい飛び抜けている身長と茶色に染めている髪のせいで、他の強盗犯よりも目立つタイプの人間だったのかもしれない。防犯カメラに映った姿なども頼りに聞き込み捜査し、逮捕に繋がったようだった。逮捕された男の証言次第では、他の三人も芋蔓式に引っ張れるのではないか。

 責任者として警察から話を聞いた店長によると、逮捕されたその男は、コンビニに来店したことのある男であるようだった。身長が高く体躯も良い若い男。小柄な店長からすると、多少なりとも威圧感を覚えてしまうような人である。それにより頭に濃く残っていたようだ。自分と一緒のシフトの時で、酎ハイをたくさん買ってくれた人だと目を合わせられたが、確かにそんなことがあったような気がするといった程度の頼りない朧げな記憶しか思い出せなかった。他人に興味関心がないせいだった。

 一度は害のない客として来ていたらしい男が、一体何がどうなって、今度は強盗犯として来店してきたのか。男の中で光と闇がひっくり返ってしまうような事象でも起きたのか。疑問が浮かぶが、それも店長からの言葉であっという間に消え去った。