仰向けで息絶えている男と机を挟んだ対面に腰を下ろした彼は、早速棒アイスに噛みつき、気休め程度の腹拵えをする。舐めて溶かしながら堪能するでもなく、彼は黙々と噛んで咀嚼し続けた。腹を満たすためだけに胃に送り込んでいるだけだった。

 早々にアイスを食べ終え、身包みを剥がされ裸になった棒を袋に戻す。まとめてゴミ箱に捨てた後、彼は男の死を今一度確認した。屍姦が性癖の犯罪者であっても、一瞬で萎えてしまうのではないかと思うほどに魅力のない、まるで汚物のような死体だった。

「無事に死ねて良かったですね」

 一区切りをつける際の彼の声は、食べたばかりのアイスのように冷たい響きを持っていたが、それが彼の通常運転であった。

 彼は部屋の電気を消灯し、死体となった男の家を後にする。

 久しぶりに行った殺人の対象は、害と害を組み合わせて作ったような失敗作だったが、溜まった欲求は問題なく吐き出せた。これでしばらくは心の平安を保てるだろう。また殺したくなったら殺せばいいだけだ。選んだ人間が失敗作だろうが何だろうが、殺してしまえば心のない肉塊となる。

 夜の闇に溶け込んでいる黒い車に乗り込み、エンジンをかけた。男の皮脂や血液が付着してしまっているであろう手袋を外し、ナビの目的地を自分のアパートに設定する。帰ったら手袋も衣服も身体もよく洗うことを決めた彼は、シートベルトを着用するなりすぐに車を出した。