「希望がないようですので、こちらで好きに殺しますね」
彼はまたもや男の問いを無視して立ち上がった。あたふたし始める男の胸倉を掴みに行き、躊躇なく顔面をぶん殴る。ぶん殴る。ぶん殴る。お気に入りの手袋はしっかり身につけていた。
男は何かを訴えるように唇を動かしていたが、彼の耳には届かない。男の声が聞こえる前に殴っているからだ。殺されたくて自分と約束を取りつけたのだから、ここで文句を言われる筋合いはない。黙って殺されていればいい。黙って殺させてくれればいい。彼は真顔で拳を振るい続けた。
男の手が顔を庇おうとし始めた。殺されたいはずだ。死にたいはずだ。抵抗されるのはおかしな話だ。
彼は防御が疎かになっている首を不意打ちで殴りつける。潰れたカエルの鳴き声のような濁った音が男の喉から落ちた。手応えを感じ、繰り返し喉笛に暴行を加えるが、手袋がクッションとなり、骨が皮膚にぶつかる痛みや威力を軽減している恐れがあることに気づく。
胸倉を掴んだまま、彼は目だけで辺りを見回した。雑多な机の上にテレビのリモコンを見つけた。これでいいか、と彼は手を伸ばしてリモコンを握り締める。角を利用し、勢いをつけて喉に叩き込みたかったが、今度は首を守るように身を捩っている男に邪魔をされた。ここまで抵抗を示す自殺志願者も珍しい。今になって後悔しているのだろうか。だとしても手は止めない。殺される運命は決まっている。
首を守ることで、今は顔面が無防備になっていた。彼は慌てることなく狙いを変え、握ったリモコンを振り切ってこめかみを打った。男の米粒のような黒目が回ったように見えたが、この程度ではまだ死なない。彼はもう一度打った。更に打った。何度も打った。打った。打った。打った。
彼はまたもや男の問いを無視して立ち上がった。あたふたし始める男の胸倉を掴みに行き、躊躇なく顔面をぶん殴る。ぶん殴る。ぶん殴る。お気に入りの手袋はしっかり身につけていた。
男は何かを訴えるように唇を動かしていたが、彼の耳には届かない。男の声が聞こえる前に殴っているからだ。殺されたくて自分と約束を取りつけたのだから、ここで文句を言われる筋合いはない。黙って殺されていればいい。黙って殺させてくれればいい。彼は真顔で拳を振るい続けた。
男の手が顔を庇おうとし始めた。殺されたいはずだ。死にたいはずだ。抵抗されるのはおかしな話だ。
彼は防御が疎かになっている首を不意打ちで殴りつける。潰れたカエルの鳴き声のような濁った音が男の喉から落ちた。手応えを感じ、繰り返し喉笛に暴行を加えるが、手袋がクッションとなり、骨が皮膚にぶつかる痛みや威力を軽減している恐れがあることに気づく。
胸倉を掴んだまま、彼は目だけで辺りを見回した。雑多な机の上にテレビのリモコンを見つけた。これでいいか、と彼は手を伸ばしてリモコンを握り締める。角を利用し、勢いをつけて喉に叩き込みたかったが、今度は首を守るように身を捩っている男に邪魔をされた。ここまで抵抗を示す自殺志願者も珍しい。今になって後悔しているのだろうか。だとしても手は止めない。殺される運命は決まっている。
首を守ることで、今は顔面が無防備になっていた。彼は慌てることなく狙いを変え、握ったリモコンを振り切ってこめかみを打った。男の米粒のような黒目が回ったように見えたが、この程度ではまだ死なない。彼はもう一度打った。更に打った。何度も打った。打った。打った。打った。



