強盗殺人についての記載があった。闇バイトに応募した若者複数人が実行役として高齢者の自宅に押しかけ拘束し、暴力を駆使して金銭の場所を吐かせ、奪い、挙げ句の果てには殺害した胸糞悪い事件である。

 犯人は逮捕されたようだが、実行役に指示した上役以上の者からすればそれは想定内だろう。やはり捨て駒なのだ。組織に金を上納してくれさえすれば、実行役が逮捕されようが取るに足らないことなのだ。組織そのものを摘発しない限り、いたちごっこである。

 見えない場所で警察が日々闘っているのだろうが、未だ進展はなかった。闇バイトとは別で、彼自身が犯している罪に関しても同様で、現時点では警察に接触されるようなことはなかった。

 警察は危険な職の一つだ。刑事にでもなれば、狂った思想や狂った性癖などを持った凶悪な犯罪者や、裏社会の暴力団組織、麻薬組織、詐欺組織などを相手にすることもあるのだから、心休まる日などないのではないか。危険と隣り合わせであると分かっていながら、その職に就こうとする人たちは尊敬に値する。人を助けることよりも殺すことが好きな時点で、正義感の欠片もない彼には不向きすぎる仕事だった。警察官や刑事になりたいなどと憧れたこともなかった。

 相手に了承を得て殺害したことが判明しても、それに目を瞑ってくれるはずもない警察関係者は、彼にとって漏れなく全員警戒すべき敵と成り果てていた。怪しまれないように、疑われないように。しがないコンビニ店員を演じ続ける。

 いつまでそうしていられるかは判然としないが、できるだけ長く、誰からもスポットライトを浴びずに、影でひっそりと生きていきたい。何の取り柄もない自分には、それが合っている。それが普通である。