彼は後輩を冷たく流し、しばらくサボっていた仕事を再開しようとレジを離れた。情に熱い後輩との会話を強制的に終わらせる手段でもあった。
「そういう素っ気ないところも魅力の一つっすからね、先輩」
無駄に大声で呼びかける後輩を無視して売場の整理を始める。冷淡な対応をされても後輩は反発することも不機嫌になることもなく、寧ろ犬のように尻尾を振って楽しそうに笑っていた。
いくら冷たく突き放しても、後輩は他の仕事仲間と違ってめげずに駆け寄ってくる。未だに連絡先を知りたがるくらいには諦めが悪くしつこかった。親しくなれば教えてくれると希望を抱いているのかもしれないが、そもそも彼は後輩と親しくなりたいわけではない。一定の距離感がほしいところである。後輩はその距離感を遠慮もなく詰めてくるのだから考えものであった。
一回懲らしめてやろうかと思ったことがないわけではないが、そこまでする熱量は彼にはない。殺す予定でもない相手に熱くなるのは柄ではない上に、その労力が無駄に思えてならなかったのだ。余計な体力を使いたくなかった。寄ってくる後輩には心を開くことなく遇い続け、このまま仕事での人間関係を上手く調整するしかない。
隣にいると何かと喋りかけてくる後輩から逃れた彼は、レジは後輩に任せ、隅から隅まで売場を綺麗にすることに集中した。
後輩はもうレジ業務に慣れている。彼が教えることは何もない。近くにいなくても、見ていなくても、全く問題はなかった。
呼ばれたら行く。呼ばれなかったら行かない。基本的なことではあるが、できるだけ呼ばれないことを彼は願った。強盗犯や露出狂の男といった、罪の重さにギャグかそうじゃないかほどの差があるような犯罪者の来店がまたしてもあっても、呼ばれたくはない。犯罪者の来店を心配するのもおかしな話ではあるが。
「そういう素っ気ないところも魅力の一つっすからね、先輩」
無駄に大声で呼びかける後輩を無視して売場の整理を始める。冷淡な対応をされても後輩は反発することも不機嫌になることもなく、寧ろ犬のように尻尾を振って楽しそうに笑っていた。
いくら冷たく突き放しても、後輩は他の仕事仲間と違ってめげずに駆け寄ってくる。未だに連絡先を知りたがるくらいには諦めが悪くしつこかった。親しくなれば教えてくれると希望を抱いているのかもしれないが、そもそも彼は後輩と親しくなりたいわけではない。一定の距離感がほしいところである。後輩はその距離感を遠慮もなく詰めてくるのだから考えものであった。
一回懲らしめてやろうかと思ったことがないわけではないが、そこまでする熱量は彼にはない。殺す予定でもない相手に熱くなるのは柄ではない上に、その労力が無駄に思えてならなかったのだ。余計な体力を使いたくなかった。寄ってくる後輩には心を開くことなく遇い続け、このまま仕事での人間関係を上手く調整するしかない。
隣にいると何かと喋りかけてくる後輩から逃れた彼は、レジは後輩に任せ、隅から隅まで売場を綺麗にすることに集中した。
後輩はもうレジ業務に慣れている。彼が教えることは何もない。近くにいなくても、見ていなくても、全く問題はなかった。
呼ばれたら行く。呼ばれなかったら行かない。基本的なことではあるが、できるだけ呼ばれないことを彼は願った。強盗犯や露出狂の男といった、罪の重さにギャグかそうじゃないかほどの差があるような犯罪者の来店がまたしてもあっても、呼ばれたくはない。犯罪者の来店を心配するのもおかしな話ではあるが。



