「平和なことは良いことだと思いますが」
彼は誰でも思いつきそうなそれっぽい言葉で後輩の相手をする。そうなんすけど、と何か言い分があるらしい後輩は続けた。
「先輩と一緒の時って、何か特殊なことが起きる確率が他の人と比べて高い気がするんで、平和すぎるとなんか逆に落ち着かないんすよね」
特殊なことと聞いて、強盗と全裸男の件が頭に浮かんだ。確かにどちらも後輩と同じシフトの時だった。女性店員目的で来店してきた男もいた覚えがある。その時は後輩ではなく店長と一緒であったが、いずれにせよ、特殊なことが起きた全ての当事者でもあるのは彼のみだった。
面倒事に巻き込まれることなく平和に仕事を終えられるのならそれに越したことはないだろうに、何も起きなさすぎて落ち着かないとイレギュラーを欲しがっているような後輩の独特な感性は理解に苦しむ。
そんなに刺激を求めているのなら殺してやらなくもないと血迷いそうになったが、善人の仮面の下に留めて脳内で雑に殺しておいた。後輩は合計で二回死んだ。
どんなに殺しても、現実の後輩は死なない。殺されていることも知らない。彼は生きている後輩を横目で見遣った。
「落ち着くようなことが起きなくても落ち着いてください。そわそわされると目障りですから」
「目障りっすか? いきなり毒吐き無慈悲な先輩のお出ましじゃないっすか。流石に傷つくっすよ」
「傷ついた人間がそんなリズム良くいきなり毒吐き無慈悲な先輩とか言わないと思いますが」
「うわ、なんか今ドキッとしたっす。流石、男が惚れる男っすね。俺の言葉復唱してくれた先輩は貴重っす」
後輩は口角を上げ、目尻を下げ、嬉しそうに破顔する。人懐っこそうな笑顔を見せる後輩を見ながら、今の発言のどこに胸が跳ね相好を崩すような要素があったのだろうと彼は首を傾げてしまいたくなった。
彼は誰でも思いつきそうなそれっぽい言葉で後輩の相手をする。そうなんすけど、と何か言い分があるらしい後輩は続けた。
「先輩と一緒の時って、何か特殊なことが起きる確率が他の人と比べて高い気がするんで、平和すぎるとなんか逆に落ち着かないんすよね」
特殊なことと聞いて、強盗と全裸男の件が頭に浮かんだ。確かにどちらも後輩と同じシフトの時だった。女性店員目的で来店してきた男もいた覚えがある。その時は後輩ではなく店長と一緒であったが、いずれにせよ、特殊なことが起きた全ての当事者でもあるのは彼のみだった。
面倒事に巻き込まれることなく平和に仕事を終えられるのならそれに越したことはないだろうに、何も起きなさすぎて落ち着かないとイレギュラーを欲しがっているような後輩の独特な感性は理解に苦しむ。
そんなに刺激を求めているのなら殺してやらなくもないと血迷いそうになったが、善人の仮面の下に留めて脳内で雑に殺しておいた。後輩は合計で二回死んだ。
どんなに殺しても、現実の後輩は死なない。殺されていることも知らない。彼は生きている後輩を横目で見遣った。
「落ち着くようなことが起きなくても落ち着いてください。そわそわされると目障りですから」
「目障りっすか? いきなり毒吐き無慈悲な先輩のお出ましじゃないっすか。流石に傷つくっすよ」
「傷ついた人間がそんなリズム良くいきなり毒吐き無慈悲な先輩とか言わないと思いますが」
「うわ、なんか今ドキッとしたっす。流石、男が惚れる男っすね。俺の言葉復唱してくれた先輩は貴重っす」
後輩は口角を上げ、目尻を下げ、嬉しそうに破顔する。人懐っこそうな笑顔を見せる後輩を見ながら、今の発言のどこに胸が跳ね相好を崩すような要素があったのだろうと彼は首を傾げてしまいたくなった。



