「ライト点けずに行くんですね」
「光があると目立ちますから」
足元を照らすことなく歩き出した彼の隣を、同じく人工的な光に頼ることをしないカナデが陣取る。合わせてくれたのだろうと思いながら、彼は砂利道をどんどん奥へと進んで行った。
二人揃って、心霊スポットへ向かっているという恐怖心もないまま歩き続けていると、視線の先で自然のものではない光が見えてきた。微かに人の話し声のようなものも聞こえる。
彼は暗がりでカナデと目を合わせた。目があったと分かるくらいには闇に慣れ始めていた。
「持ってますねミコトさん」
「持ってるのはここを選んだカナデさんじゃないですか」
何はともあれ、これは僥倖だ。人がいる。つまり殺せる。カナデからすれば、それを見られる。勝率の低い賭けに勝ったことは、彼にスイッチを入れさせるには十分だった。
使う予定はなかったにしても、手袋を車に乗せて置くくらいのことはしておいても良かったかもしれないと今更後悔したが、ないものは仕方がない。他で代用して、最低限、指紋を残さないように殺したい。
彼は標的との距離を縮めながら、何かないかとあれこれ思案し、結局自らの服に落ち着いた。羽織っていた薄手のパーカーを脱ぐ。これで首を絞めるくらいはできるはずだ。
「カナデさん、指紋には注意してください」
「指紋ですか? 分かりました」
カナデが直接手を下すことはないだろうが、気をつけておくに越したことはない。イレギュラーの殺人であっても、やれるだけのことはやっておきたいのだった。
カナデと足並みを揃えながら突き進む。微かだった人の声が徐々にはっきりしたものに変わっていく。学生と思しき男子の声のようだった。二人は夜に溶け込むようにどちらからともなく息を潜めた。
「光があると目立ちますから」
足元を照らすことなく歩き出した彼の隣を、同じく人工的な光に頼ることをしないカナデが陣取る。合わせてくれたのだろうと思いながら、彼は砂利道をどんどん奥へと進んで行った。
二人揃って、心霊スポットへ向かっているという恐怖心もないまま歩き続けていると、視線の先で自然のものではない光が見えてきた。微かに人の話し声のようなものも聞こえる。
彼は暗がりでカナデと目を合わせた。目があったと分かるくらいには闇に慣れ始めていた。
「持ってますねミコトさん」
「持ってるのはここを選んだカナデさんじゃないですか」
何はともあれ、これは僥倖だ。人がいる。つまり殺せる。カナデからすれば、それを見られる。勝率の低い賭けに勝ったことは、彼にスイッチを入れさせるには十分だった。
使う予定はなかったにしても、手袋を車に乗せて置くくらいのことはしておいても良かったかもしれないと今更後悔したが、ないものは仕方がない。他で代用して、最低限、指紋を残さないように殺したい。
彼は標的との距離を縮めながら、何かないかとあれこれ思案し、結局自らの服に落ち着いた。羽織っていた薄手のパーカーを脱ぐ。これで首を絞めるくらいはできるはずだ。
「カナデさん、指紋には注意してください」
「指紋ですか? 分かりました」
カナデが直接手を下すことはないだろうが、気をつけておくに越したことはない。イレギュラーの殺人であっても、やれるだけのことはやっておきたいのだった。
カナデと足並みを揃えながら突き進む。微かだった人の声が徐々にはっきりしたものに変わっていく。学生と思しき男子の声のようだった。二人は夜に溶け込むようにどちらからともなく息を潜めた。



