「その空き缶、俺のと一緒に捨てて来ますよ」

「本当ですか? ありがとうございます。優しいですね。普通に惚れ直します」

 相変わらずの惚れた何だの発言を流した彼は、カナデから空き缶を受け取り車から降りた。

 車外からカナデを盗み見る。人を殺すところを見たいなど変わっている人だと彼は思ったが、殺人が快楽に繋がる彼自身も大概普通ではなかった。

 殺人鬼の彼も詐欺師のカナデも、明らかに良心が欠如している。人を殺すことも、人を騙すことも、彼らからすれば食ったり眠ったりする行為と同じであった。だからこそ、まるで買い物に行くように人を殺しに行こうとしている。人を殺す人を見に行こうとしている。殺される人間に、ほとんど焦点は当てていない。

 設置されている分別用ゴミ箱に缶とペットポトルを捨てた彼は、まっすぐ車に戻った。

「ミコトさん、ここどうですか?」

 乗り込むや否や、待ち構えていたようにカナデにスマホを向けられた。コンビニで後輩に画像を見せられた時の記憶と重なったが、カナデのスマホの距離感は後輩と違ってちょうどいいものである。近くもなく、遠くもない。

 スマホの画面には、見た人の恐怖心を煽るかのようなおどろおどろしいトンネルの画像が映っていた。あまり整備されていない印象だ。人の手がほとんど加えられていないことが窺える。ここに人が来ることなどあるのだろうかと疑問に思うが、それはどこの心霊スポットを見ても感じることであるかもしれない。故に、場所はどこであっても一緒であった。

「俺はどこでも構いません」

「でしたらこのトンネルにしてみます。ハズレを引いても恨まないでくださいね」

「ご心配なく」

 彼は車のエンジンをかけた。カナデにそのトンネルの住所を教えてもらい、ナビを設定する。