殺しのモチベーションが上がった。既に埋まっている予定、カナデの檻の中にいる金蔓でいろいろと試してみたいものである。後輩カップルがコンビニに来た時に思いついた刺殺に加えて切断。まだまだ新たな感覚を味わえる可能性がある。

「ミコトさんが人を殺すところを見てみたいんですが、いいですか?」

 カナデの意表を突く発言に、彼は無言で横を向いた。室内灯のおかげで見えている顔は胡散臭く微笑っているが、冗談を言っている顔ではない。全くもって突拍子もない。好奇心が行き過ぎている。深夜テンションにでも入ってしまったのだろうかと彼は的外れなことを思ったが、冷静に会話を続けた。

「見てもいいことはないですし、カナデさんが今引っ掛けている金蔓を殺す時に見ようと思えば見られませんか」

「それはそうですが、いつになるかまだはっきりとしていませんし、何より事前に生で見ておきたいんです。言葉だけでは十分には伝わらないミコトさんの本領を」

 カナデの言い草が少々気になった。まるでこれから殺しをしてもらおうとしているような、そんな気配を感じる。

 彼は一呼吸置き、カフェオレを飲んだ。口を冷たくし、落ち着いた調子で問う。

「まさかとは思いますが、これからすぐですか」

「よく分かりましたね。そのまさかですよ。今日を逃したら、またしばらく会えないかもしれませんから」

「それは難しいお願いです。直近で誰かを殺す予定は今のところありませんので」

「それなら、これから予定を作って殺しに行きませんか?」

 予想だにしない提案に、彼は思わず言葉に詰まってしまった。これから予定を作って殺しに行くとは大胆不敵であり、慎重に事を進める節のある彼にとっては信じられない行動である。