彼は常に冷静だった。いくら趣味でも、履歴書に趣味は殺人だと書けるはずも、誰かに趣味は殺人だと言えるはずもないことは明白なのだ。
常識のある人間に擬態する時は、ありふれた趣味を持っていることにしていた。目立ったり怪しまれたりするのは最も避けたいことである。何の印象も残らないような、影の薄い存在でありたい。誰も自分に目をつけなければいい。
ベッドに寝そべったまま、彼はズボンのポケットに入れっぱなしだったスマホを取り出した。殺害して帰宅した後にはやるべきことがある。
外は明るくなり始めているが、スマホの光はまだ眩しかった。彼はブルーライトに目を眇めつつ、画面をタップしてSNSを開いた。殺した女と交わしたやりとりが残っている。
そのアカウントを、彼は躊躇いなく削除した。標的と連絡を取るためだけに作った、所謂捨てアカウントである。作っては消してを繰り返しているのだった。また適当に作成する日が来るだろう。
他にスマホを弄る用事のない彼は、それを枕元に置いて目を閉じた。シャワーを浴びたい気もしたが、汗を流すのは寝て起きてからでも問題ない。女を殺してから日付が変わった今日はもう、仕事がある夜まですることなどないのだ。時間は十分にある。入浴は後回しにした。
誰にも言えない重罪と呼ばれるものを抱えていようとも、彼は普通に職に就いていた。彼にも生活があるのだ。殺しで金銭のやりとりはしていないため、仕事をして最低限の金を稼がなければまともな日々を送れない。落ち着いて気持ちよく趣味を続けるためにも、毎月の収入を得ることは大事なことであった。
常識のある人間に擬態する時は、ありふれた趣味を持っていることにしていた。目立ったり怪しまれたりするのは最も避けたいことである。何の印象も残らないような、影の薄い存在でありたい。誰も自分に目をつけなければいい。
ベッドに寝そべったまま、彼はズボンのポケットに入れっぱなしだったスマホを取り出した。殺害して帰宅した後にはやるべきことがある。
外は明るくなり始めているが、スマホの光はまだ眩しかった。彼はブルーライトに目を眇めつつ、画面をタップしてSNSを開いた。殺した女と交わしたやりとりが残っている。
そのアカウントを、彼は躊躇いなく削除した。標的と連絡を取るためだけに作った、所謂捨てアカウントである。作っては消してを繰り返しているのだった。また適当に作成する日が来るだろう。
他にスマホを弄る用事のない彼は、それを枕元に置いて目を閉じた。シャワーを浴びたい気もしたが、汗を流すのは寝て起きてからでも問題ない。女を殺してから日付が変わった今日はもう、仕事がある夜まですることなどないのだ。時間は十分にある。入浴は後回しにした。
誰にも言えない重罪と呼ばれるものを抱えていようとも、彼は普通に職に就いていた。彼にも生活があるのだ。殺しで金銭のやりとりはしていないため、仕事をして最低限の金を稼がなければまともな日々を送れない。落ち着いて気持ちよく趣味を続けるためにも、毎月の収入を得ることは大事なことであった。



