今日も推しが尊いので溺愛は遠慮いたします!~なのに推しそっくりな社長が迫ってきて!?~

「わかります、その気持ち」

芽衣子の表情がほぐれたタイミングで、雪雅がさらに切り込む。

「祖母を安心させるために俺は結婚がしたい。ただ、恋愛とか夫婦愛とかそういうのは求めていないんだ。もっとビジネスライクな関係で十分」

そこまで言われれば、あとはわかる。

「つまり、私に形だけの妻になれと?」

表情がぎこちなく固まっている芽衣子とは対照的に彼はにこやかだ。

「そう。さしずめ契約夫婦ってところかな。俺は君の実家の問題を解決すると約束するから、君は外向けには俺のよき妻でいるという義務を果たしてくれ」
「外向けには?」
「よき夫婦の体裁は保ちたいからよそでの恋愛は諦めてもらう必要があるが、それ以外は自由にしてもらって構わない。仕事も趣味も旅行でも、俺は君の生活をいっさい束縛しないよ」

(趣味……ルイさん三昧の生活でもいいってことかしら? いやいや、そうじゃないでしょ)

冷静になろうと、芽衣子はブンブンと頭を振った。

「今の話を聞いたかぎりでは、君も俺と同じで結婚に興味がないんだろう?」

そのとおりなので、ここは素直にうなずく。

「それなら悪い提案じゃないはずだ。少なくとも、裏社会に足を突っ込んでいそうな男よりはマシな夫になると誓うよ」

芽衣子が例のオーナーと結婚してもいいと発言したことを指しているのだろう。

(たしかに彼よりは夏目社長のほうが数百倍は信頼できる。なにより実家の店と理衣子の安全が保証されるのよね。だけど……)