今日も推しが尊いので溺愛は遠慮いたします!~なのに推しそっくりな社長が迫ってきて!?~

芽衣子は絶句し、目を瞬く。そこまで危ない人物とは想像もしていなかった。多少の強引さはやり手の実業家にはよく聞く話だし、彼の経営する会社に不審な点はないと両親も言っていたから。

「本性を巧妙に隠して近づき、堅気の人間ときには未成年すらも食いものにする。近頃はそういった質の悪い連中が本当に多い」

(理衣子じゃなく自分が結婚なんて……とんでもない発想だった)

雪雅が怒るのも道理だ。自分が危ない橋を渡りかけていたことに気づいて、ゾッとする。

「であれば、一刻も早く縁を切るしかないですね」

眉尻をさげ弱々しく芽衣子は答える。悪者の言いなりになるのは悔しいが、立ち向かったりしたらかえって危険だ。資金的に苦しくても移転の道を選ぶしかないだろう。

「夏目社長、本当にありがとうございました。おかげで移転の方向で両親を説得する決意ができました」
「いや、もうひとつ策がある」

芽衣子に言葉尻にかぶせて、彼は言った。

「策?」

雪雅は意味深な笑みを浮かべる。