雪雅は実家のトラブルを心から心配してくれた。その優しさが胸に染みて、芽衣子もほろりと本音をこぼす。
「両親がすっかり参っているのが心配で……それに妹のことも気がかりで」
あのオーナーが『理衣子を妻に』と言っていることは、雪雅もすでに知っている情報だ。彼の表情も一段と険しくなる。
「ただの脅しだとわかってはいるんですけどね」
それでも相手が強引な手段に出てきたらどうしよう?と、いつも強気な理衣子もこの件ばかりは不安そうにしている。
芽衣子はデザートとともに提供された紅茶のカップを持ちあげて「はぁ~」と大きなため息をついた。
「いっそ、理衣子じゃなく私で妥協してくれたらいいんですけどね。顔が似ているだけじゃダメでしょうけど」
八割は冗談だけれど二割くらいは本気だったかもしれない。自分がオーナーと結婚するだけで、両親の店と理衣子を守れるのなら悪くない取引だと思うから。だが、それを聞いた雪雅はこれまで見たことないほど怖い顔になり、低く重い声を出した。
「冗談にしたって笑えないな」
「な、夏目社長?」
鋭い眼差しに射貫かれる。
「その手段だけは絶対に選ぶな」
まるでなにか知っているような口ぶりだ。芽衣子が問いただすと、あっさり打ち明けてくれた。
「土地にまつわる商売は荒っぽい連中が多いと以前にも言っただろう? 君の実家を困らせているオーナーも……」
彼は母からオーナーの名と彼の経営する会社のことを聞き出し、業界のネットワークを駆使して調べてくれていたようだ。
「表向きは健全な企業のふりをして、実は裏で反社会的な組織と繋がっている。近頃はそういう会社が急増している。このオーナーもそういう世界の人間だ」
「両親がすっかり参っているのが心配で……それに妹のことも気がかりで」
あのオーナーが『理衣子を妻に』と言っていることは、雪雅もすでに知っている情報だ。彼の表情も一段と険しくなる。
「ただの脅しだとわかってはいるんですけどね」
それでも相手が強引な手段に出てきたらどうしよう?と、いつも強気な理衣子もこの件ばかりは不安そうにしている。
芽衣子はデザートとともに提供された紅茶のカップを持ちあげて「はぁ~」と大きなため息をついた。
「いっそ、理衣子じゃなく私で妥協してくれたらいいんですけどね。顔が似ているだけじゃダメでしょうけど」
八割は冗談だけれど二割くらいは本気だったかもしれない。自分がオーナーと結婚するだけで、両親の店と理衣子を守れるのなら悪くない取引だと思うから。だが、それを聞いた雪雅はこれまで見たことないほど怖い顔になり、低く重い声を出した。
「冗談にしたって笑えないな」
「な、夏目社長?」
鋭い眼差しに射貫かれる。
「その手段だけは絶対に選ぶな」
まるでなにか知っているような口ぶりだ。芽衣子が問いただすと、あっさり打ち明けてくれた。
「土地にまつわる商売は荒っぽい連中が多いと以前にも言っただろう? 君の実家を困らせているオーナーも……」
彼は母からオーナーの名と彼の経営する会社のことを聞き出し、業界のネットワークを駆使して調べてくれていたようだ。
「表向きは健全な企業のふりをして、実は裏で反社会的な組織と繋がっている。近頃はそういう会社が急増している。このオーナーもそういう世界の人間だ」



