「ごめん、お母さん。私、一本だけ電話を入れないといけないから少し待っていてくれる?」
そう断りを入れて雪雅に電話しようと母に背を向けると、廊下の向こうから彼本人が歩いてくるのが見えた。
「すみません! 連絡を入れるとお約束したのに遅くなって」
「いや、俺も心配だったから。余計なお世話とも思ったが様子を見に来た」
彼も芽衣子と同様に、命に関わるような事態だと考えていたのだろう。胃潰瘍であったと伝えると、ホッと安堵の表情を見せる。
「そうか、安心したよ」
「本当にお騒がせして、申し訳ございませんでした」
自分の顔をまじまじと見つめる母の視線に気づいたのだろう。雪雅は襟を正して、いつもの完璧なビジネススマイルを作ってみせた。
「ごあいさつもなしに、大変失礼いたしました。芽衣子さんと同じ職場で働く夏目雪雅と申します。お嬢さんにはいつもお世話になっておりまして」
母もやはり女だ。こんなときだというのに、雪雅の麗しい笑顔にポッと頬を染めている。
「まぁ、芽衣子と仲良くしてくださってありがとう」
仲良く、のところで意味ありげにこちらに視線を送ってきた。
(あ。もしかしてなにか誤解してる⁉)
そう断りを入れて雪雅に電話しようと母に背を向けると、廊下の向こうから彼本人が歩いてくるのが見えた。
「すみません! 連絡を入れるとお約束したのに遅くなって」
「いや、俺も心配だったから。余計なお世話とも思ったが様子を見に来た」
彼も芽衣子と同様に、命に関わるような事態だと考えていたのだろう。胃潰瘍であったと伝えると、ホッと安堵の表情を見せる。
「そうか、安心したよ」
「本当にお騒がせして、申し訳ございませんでした」
自分の顔をまじまじと見つめる母の視線に気づいたのだろう。雪雅は襟を正して、いつもの完璧なビジネススマイルを作ってみせた。
「ごあいさつもなしに、大変失礼いたしました。芽衣子さんと同じ職場で働く夏目雪雅と申します。お嬢さんにはいつもお世話になっておりまして」
母もやはり女だ。こんなときだというのに、雪雅の麗しい笑顔にポッと頬を染めている。
「まぁ、芽衣子と仲良くしてくださってありがとう」
仲良く、のところで意味ありげにこちらに視線を送ってきた。
(あ。もしかしてなにか誤解してる⁉)



