今日も推しが尊いので溺愛は遠慮いたします!~なのに推しそっくりな社長が迫ってきて!?~

「そっか、とりあえず安心した」
「ごめんね、大騒ぎしちゃって」
「ううん。それはいいけど」

 夫が目の前で倒れたのだから、混乱して当然だろう。

「でも、胃潰瘍ってストレスが原因になるってよく聞くよね?」

あまり深刻にならないように言ったつもりだったけれど、芽衣子の声は不安げに震えた。答える母も同じだ。

「うん。お医者さまもそれはおっしゃっていたわ」

重たい沈黙が落ちる。父のストレスの原因は明らかだ。

(例のオーナーの件、なんとかしてあげたいけれど)

場を仕切り直すように、母は無理して笑顔を作る。

「今夜はうちに泊まれる? 理衣子も今こっちに向かってくれているし、明日あらためてお父さんをお見舞いしてあげて」
「うん、そうする」

時間も時間なので、今からの面会が難しいという説明はすでに看護師から受けていた。母は車で来ているので、理衣子を駅まで迎えに行きながら一緒に実家に帰ろうという話になった。