いつも聞いているルイにそっくりな声音は芽衣子の心を幾分か落ち着かせてくれた。
父が倒れたので、これからすぐに実家に向かう。月曜日も状況によっては出社が難しい可能性がある。
雪雅にそう伝えると、彼は「実家は横須賀だったよな。俺の車で直接病院に行こう。この時間なら道も空いてるし電車より早い」と言って芽衣子の手を引いた。
「い、いえ。社長にご迷惑をかけるわけには」
「バカか。こういうときは甘えていいんだ」
雪雅らしくない、強く強引な口調だった。けれどそのおかげで、芽衣子はそれ以上に意地を張らず素直に彼の好意を受け入れることができた。
普通の会社員である自分には縁のない海外メーカーの高級車。ふかふかの座り心地の助手席で、芽衣子はじっと窓の外を見つめていた。高層ビル群が遠くなり、懐かしい地元の風景が近づいてくる。
(お父さん……大丈夫、きっとなんでもないよね)
何度そう言い聞かせても、やっぱり心配で悪い想像が浮かんできて、芽衣子は爪の痕がつくぐらいにギュッと強くこぶしを握った。
「笹原。お父さんの病院、連絡はあったか?」
運転席の雪雅の声でハッと我に返ってスマホを確認する。母から病院名を伝える短いメッセージが入っていた。
「はい。実家の近くの市立病院のようです」
「カーナビ、入れてもらえる?」
「はいっ」
ハイテクそうなカーナビシステムを操作して行き先を設定する。それから芽衣子はあらためて隣の彼を見て、小さく頭をさげた。
「日々忙しい社長をこんなことでわずらわせてしまって、本当に申し訳ございません」
父が倒れたので、これからすぐに実家に向かう。月曜日も状況によっては出社が難しい可能性がある。
雪雅にそう伝えると、彼は「実家は横須賀だったよな。俺の車で直接病院に行こう。この時間なら道も空いてるし電車より早い」と言って芽衣子の手を引いた。
「い、いえ。社長にご迷惑をかけるわけには」
「バカか。こういうときは甘えていいんだ」
雪雅らしくない、強く強引な口調だった。けれどそのおかげで、芽衣子はそれ以上に意地を張らず素直に彼の好意を受け入れることができた。
普通の会社員である自分には縁のない海外メーカーの高級車。ふかふかの座り心地の助手席で、芽衣子はじっと窓の外を見つめていた。高層ビル群が遠くなり、懐かしい地元の風景が近づいてくる。
(お父さん……大丈夫、きっとなんでもないよね)
何度そう言い聞かせても、やっぱり心配で悪い想像が浮かんできて、芽衣子は爪の痕がつくぐらいにギュッと強くこぶしを握った。
「笹原。お父さんの病院、連絡はあったか?」
運転席の雪雅の声でハッと我に返ってスマホを確認する。母から病院名を伝える短いメッセージが入っていた。
「はい。実家の近くの市立病院のようです」
「カーナビ、入れてもらえる?」
「はいっ」
ハイテクそうなカーナビシステムを操作して行き先を設定する。それから芽衣子はあらためて隣の彼を見て、小さく頭をさげた。
「日々忙しい社長をこんなことでわずらわせてしまって、本当に申し訳ございません」



