「……はー……かっこ悪いなあ。でも、ありがと。いてくれて。花音ちゃんがいてくれたから、ちゃんと最後まで見られたし……鈴美にも、作品は良かったって言えた。最後は……ちょっとイラついて、逃げちゃったけど」
藤乃さんが、ゆっくりと顔を上げた。少しやつれて見えるけれど、表情はどこか明るかった。
「ごめんね。せっかく誘ってくれたのに。花音ちゃんとの初デートだから、ほんとはかっこつけたかったんだけど」
「で、デート……ですか?」
「違った?」
ちょっと笑ってそんなことを言う藤乃さんは、なんていうか、ずるい。
そんなふうに言われたら、違うなんて言えないよ。
「違くないです。私も、藤乃さんとのデートだと思って、朝から頑張って服を選んだり、お化粧してきました」
「ああ、だからいつもよりかわいいんだ。ありがと。嬉しい」
どうしてこの人は、そういうことをサラッと言えるんだろう。慣れてるのかなあ……。
……でも耳も頬も真っ赤だし、目がちょっと泳いでいるから、もしかしたら頑張って言ってるのかもしれない。
かわいくて、ついじっと見つめていたら、目を逸らされてしまった。そして、すっと立ち上がる。
「じゃあ、ちょっとおやつでも食べて帰ろうか。近くに美味しそうな甘味屋さんがあるらしいんだけど、花音ちゃん、和菓子好き?」
「はい、好きです!」
「良かった。じゃあ、行こうか。近くだから歩いていってもいい?」
「はい!」
藤乃さんは、つないだ手をそのままに歩き出した。
何か言おうかと思ったけど、せっかくだからつないでおく。藤乃さんの手は、大きくて、少しかさついていて、硬い――男の人の手だった。私の手もバレーをやっていたこともあって、女としては大きい方だけど、藤乃さんには敵わない。
「えへへ……」
「どしたの?」
「須藤さんの手、大きいですね……」
「……あ、ごめん、つないだままで……」
「大丈夫です。デートなんですよね? だったら、歩いてる間はつないでたいです」
そう言って顔を見たら、さっきよりずっと真っ赤になっていた。
やっぱり、かわいい人だ。
展覧会の会場を出て、のんびり歩く。天気のいい初夏の夕方。少し蒸し暑いけれど、風が吹いているし、隣で藤乃さんと手をつないで歩いているから、気分はすごくいい。
藤乃さんが、ゆっくりと顔を上げた。少しやつれて見えるけれど、表情はどこか明るかった。
「ごめんね。せっかく誘ってくれたのに。花音ちゃんとの初デートだから、ほんとはかっこつけたかったんだけど」
「で、デート……ですか?」
「違った?」
ちょっと笑ってそんなことを言う藤乃さんは、なんていうか、ずるい。
そんなふうに言われたら、違うなんて言えないよ。
「違くないです。私も、藤乃さんとのデートだと思って、朝から頑張って服を選んだり、お化粧してきました」
「ああ、だからいつもよりかわいいんだ。ありがと。嬉しい」
どうしてこの人は、そういうことをサラッと言えるんだろう。慣れてるのかなあ……。
……でも耳も頬も真っ赤だし、目がちょっと泳いでいるから、もしかしたら頑張って言ってるのかもしれない。
かわいくて、ついじっと見つめていたら、目を逸らされてしまった。そして、すっと立ち上がる。
「じゃあ、ちょっとおやつでも食べて帰ろうか。近くに美味しそうな甘味屋さんがあるらしいんだけど、花音ちゃん、和菓子好き?」
「はい、好きです!」
「良かった。じゃあ、行こうか。近くだから歩いていってもいい?」
「はい!」
藤乃さんは、つないだ手をそのままに歩き出した。
何か言おうかと思ったけど、せっかくだからつないでおく。藤乃さんの手は、大きくて、少しかさついていて、硬い――男の人の手だった。私の手もバレーをやっていたこともあって、女としては大きい方だけど、藤乃さんには敵わない。
「えへへ……」
「どしたの?」
「須藤さんの手、大きいですね……」
「……あ、ごめん、つないだままで……」
「大丈夫です。デートなんですよね? だったら、歩いてる間はつないでたいです」
そう言って顔を見たら、さっきよりずっと真っ赤になっていた。
やっぱり、かわいい人だ。
展覧会の会場を出て、のんびり歩く。天気のいい初夏の夕方。少し蒸し暑いけれど、風が吹いているし、隣で藤乃さんと手をつないで歩いているから、気分はすごくいい。



