…こういう、人間がいるから。
祖竜は、ずっと悲しんできた。
だけど山口は、そんな私の…祖竜の悲しみなどいざ知らず。
「さて、それじゃ答え合わせをしてもらえないかな」
「…答え合わせ?」
「祖竜の記憶を思い出したんだろう?…聞かせてくれ。君達竜のこと。そして、竜の叡智というものを」
「…」
…そうね。
あなた達は、その為に竜人研究を進めてきたんだものね。
…だからこそ、私は伝えなければならない。
過ちを、繰り返さない為に。
「…あなた達こそ」
「ん?」
「どうして…。…6階にあるもの…『竜の心臓』に、手を出したの?」
「…」
私が、そう尋ねると。
山口は、さすがに少し驚いた風だった。
「へぇ…。そのことも知ってるのか。6階は、立ち入り禁止のはずだけど…」
「…」
残念だったわね。
本当に立ち入り禁止にしたいなら、9年前…私が6歳の頃のあの日。
鍵が壊れてしまったまま、一晩でも放置するべきじゃなかった。
あれが、私の運命の分岐点だった。
そして、その6階にあったものは…。
「『竜の心臓』…。始まりの竜族、祖竜の心臓だ」
山口は、得意げに説明した。
「…あの心臓は本物なのね?本当に…まだ、生きているのね?」
「そうだ。あれは確かに生きている。遥か昔に滅びたはずの、祖竜の心臓だ」
…やっぱり。
「不思議なものだよね、竜族っていうのは。…肉体はとっくに滅びているのに、その魂を宿した心臓だけは、幾星霜経ても滅びることなく、鼓動を刻み続けている」
「…」
その通り。
6階の部屋の中、中央のガラスケースの中に収められていたのは。
今はもう亡き、祖竜の心臓だった。
しかもその心臓は、まだ動いていた。
身体はもうないのに。脳みそも、腕も、足も、ツノも、何も無いのに。
たった一つ残った心臓だけは、滅びることなく、朽ちることなく、未だに生前と同じように動き続けている。
持ち主の祖竜が死んでも、祖竜以外の竜族がみんな死んでしまっても。
それでも決して止まることのない、『竜の心臓』…。
「数百年前に人類は、大地に深く封じられていた、祖竜の心臓を発掘した。それからまた何十年もかけて、それが竜の心臓であることを突き止め…。そして、そこから壮大な『竜人計画』がスタートした」
山口教授は、『竜の心臓』の歴史を私に説明した。
「貴重な『竜の心臓』を安全に守る為、そして『竜の心臓』を使って、竜人を造り出す為…。…この竜人研究所は、それらの目的の為に創設された…」
「…」
「さながら、ここは竜の神殿だね」
…馬鹿馬鹿しい。
それは竜の意志ではない。すべて、人間の意志で、勝手に行ったことだ。
ここが、神殿などであるものか。
祖竜は、ずっと悲しんできた。
だけど山口は、そんな私の…祖竜の悲しみなどいざ知らず。
「さて、それじゃ答え合わせをしてもらえないかな」
「…答え合わせ?」
「祖竜の記憶を思い出したんだろう?…聞かせてくれ。君達竜のこと。そして、竜の叡智というものを」
「…」
…そうね。
あなた達は、その為に竜人研究を進めてきたんだものね。
…だからこそ、私は伝えなければならない。
過ちを、繰り返さない為に。
「…あなた達こそ」
「ん?」
「どうして…。…6階にあるもの…『竜の心臓』に、手を出したの?」
「…」
私が、そう尋ねると。
山口は、さすがに少し驚いた風だった。
「へぇ…。そのことも知ってるのか。6階は、立ち入り禁止のはずだけど…」
「…」
残念だったわね。
本当に立ち入り禁止にしたいなら、9年前…私が6歳の頃のあの日。
鍵が壊れてしまったまま、一晩でも放置するべきじゃなかった。
あれが、私の運命の分岐点だった。
そして、その6階にあったものは…。
「『竜の心臓』…。始まりの竜族、祖竜の心臓だ」
山口は、得意げに説明した。
「…あの心臓は本物なのね?本当に…まだ、生きているのね?」
「そうだ。あれは確かに生きている。遥か昔に滅びたはずの、祖竜の心臓だ」
…やっぱり。
「不思議なものだよね、竜族っていうのは。…肉体はとっくに滅びているのに、その魂を宿した心臓だけは、幾星霜経ても滅びることなく、鼓動を刻み続けている」
「…」
その通り。
6階の部屋の中、中央のガラスケースの中に収められていたのは。
今はもう亡き、祖竜の心臓だった。
しかもその心臓は、まだ動いていた。
身体はもうないのに。脳みそも、腕も、足も、ツノも、何も無いのに。
たった一つ残った心臓だけは、滅びることなく、朽ちることなく、未だに生前と同じように動き続けている。
持ち主の祖竜が死んでも、祖竜以外の竜族がみんな死んでしまっても。
それでも決して止まることのない、『竜の心臓』…。
「数百年前に人類は、大地に深く封じられていた、祖竜の心臓を発掘した。それからまた何十年もかけて、それが竜の心臓であることを突き止め…。そして、そこから壮大な『竜人計画』がスタートした」
山口教授は、『竜の心臓』の歴史を私に説明した。
「貴重な『竜の心臓』を安全に守る為、そして『竜の心臓』を使って、竜人を造り出す為…。…この竜人研究所は、それらの目的の為に創設された…」
「…」
「さながら、ここは竜の神殿だね」
…馬鹿馬鹿しい。
それは竜の意志ではない。すべて、人間の意志で、勝手に行ったことだ。
ここが、神殿などであるものか。


