宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

式典自体は滞りなく終わり、
司教がせっかくなので施設を見て行ってくださいと申し出たため、
オルランドは見学することにする。

リニューアルされた養護施設は教会に付属したもので
学校と孤児院が合体していた。
学校には町の子どもたちも通うが、
身寄りのない子どもは教会が孤児院で面倒を見ているという。
「王妃が机や椅子を新調してやりたいと言っていたが。」
「えぇ。もう王妃様には感謝してもしきれません。私どもではそこまで手を回してやることができなかったので。新品の机と椅子に子どもたちも大喜びです。あ、そうそう。王妃様はこんなことも気遣ってくださって。」
司教は別の部屋へ姿を消すと、
大きな箱を抱えて帰ってきた。
「実は先日、王妃様がこちらを届けてくださいました。明日、子どもたちに配る予定です。」
司教が抱えていた箱には、
これまた新しい羊皮紙や羽ペン、インク壺などが入っていた。
「王妃様の優しいお心に触れて、子どもたちはより一層勉学に身が入ることでしょう。」

オルランドが次に向かったのは街の中心部にある市場だった。
王都にも近いこの街は活気もあって賑やかだ。
滅多にお目にかかれない国王を一目見ようと
市場には大勢の人がやって来ていた。
皆、遠巻きにオルランドを見つめている。