宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

サレハの退出とともに
オルランドが続きをもらい受ける。
「お前たちには反省する時間が必要だ。私が指定する修道院で1年の奉仕を命じる。神への奉仕と祈りの日々で己を見つめ直せ。」
オルランドが下した処罰に
令嬢達やその父親たちから悲鳴が上がる。
（1年ですって！）
（そんな！私、婚約していますのに。）
（陛下！どうかもう少し短くしていただけませんか？娘は深く反省しております。）

「5年でも10年でも反省してろと言いたいところだか、これでも大分譲歩してやったんだ。これ以上の減刑はない。」
オルランドはきつい口調で言い放った。
オルランドの氷の眼差しに
もう交渉の余地はないと悟った令嬢たちは
がっくりと肩を落として退出した。
「容赦がないですね。1年は確かに短い気もしますが。」
「ふん。自業自得だ。貴族たちなんか評判や世間体が命だから、そちらのほうが彼女達には致命的だろ。」

オルランドの言う通り、
今回の処分は彼女たちの人生に大いに影響を与えた。
彼女たちの父親の努力虚しく、
ことの顛末が詳細に
社交界を駆け巡ってしまったのである。
婚約を破棄されたり、
縁談を断られたり。
彼女たちの望むような高貴な結婚相手は
軒並み拒否反応を示した。
それゆえ、
彼女たちは自分の生家より下位の貴族か、
平民の金持ち商人の家に嫁ぐしか
選択肢が残されていなかった。