宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

サレハは
若い貴族女性たちのリーダー的存在だった。
だからきっと、
彼女たちからすれば救世主が来たと思ったのだろう。
大目に見てやってほしいと
オルランドに嘆願してくれるかもしれないと
期待のこもった視線をサレハに向ける。
しかし、
そんな淡い期待はあっさりと破られた。

「今回のことを陛下から聞きました。王族に怪我をさせるなんて、絶対にしてはいけないことよ。そんなことも分からないあなた達じゃないでしょ?」
サレハからの厳しい問いかけに
令嬢たちは口をつぐんで俯く。
「私のためみたいに言うけれど、王妃様に言ってどうするわけ?それに、外国に嫁ぐことが不幸だなんて端から決めつけないで。」

そこまで言うと、
サレハは令嬢たちを順番に見つめる。
「確かにお母様のことがあったから、外国に嫁ぐのは初めは抵抗があったわ。でも陛下はそんな私に相手を知る機会をくださった。相手の方はとても良い方で、その方に嫁ぐ決意をしました。私は不幸ではないのだから、私を理由に王妃様を貶めるのは辞めなさい。さすがに今回はやり過ぎよ。よく頭を冷やして反省することね。陛下、後はお任せします。」
サレハは取り巻きだった令嬢たちを擁護することなく、
去っていった。