宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「私に時間をくれないだろうか。貴女の腕が完治するまで。それまでに貴女のために環境を変えてみせる。約束する。」
テーブル越しにフィロメナの手を握り、
オルランドは宣言した。

期間はそう長くない。
それまでにやらなければならないことは
山ほどある。
最大の障壁は王太后だろう。
激しい抵抗に遭うだろうが、
フィロメナのためなら
いくらでも鬼になれる気がした。
陰でマザコンと言われるほど
母親に従順な息子でいたが
それも今日で終わりだ。

固い決意を胸に、
オルランドは離宮を後にした。