宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

(大丈夫。きっと大丈夫よ。)
ドキドキする胸を必死になだめながら
フィロメナがソファで待っていると
マーゴに連れられてオルランドがやって来た。

真正面から見られることが恥ずかしくて、
フィロメナは思わず顔を背けてしまう。
けれどいつまでもオルランドの気配がないので
恐る恐る入り口の方に顔を向けると
彼は立ち尽くして、フィロメナを凝視していた。


オルランドの視線に耐えきれず、
フィロメナは顔を赤くして俯く。
「ごきげんよう、陛下。そんなにじっと見ないでくださいませ。」
フィロメナの消え入るような声に
オルランドは我に返って
こちらも顔を赤くする。
「すまない。いつもの王妃とずいぶん雰囲気が違うので、つい・・・あの、座っても良いだろうか。」
オルランドは慌てて対面のソファに腰かける。
ただその目はフィロメナをじっと見つめていた。