宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「え、もういらしたの？どうしよう、どうしよう。」
フィロメナは慌てていた。
離宮にオルランドがやって来ることは聞いていたが
こんなに早く来るとは聞いていなかった。

「何も問題ないではございませんか。お着替えもヘアメイクもすんでいるのですから。お茶の用意も整っております。」
「マーゴ、よく見て。私の顔は化粧が終わってないのよ。こんな顔でお会いするなんて、、、」
フィロメナが動揺しているのは
いつもの厚化粧ができていないからだった。
離宮では誰とも会わないので
素顔を活かした化粧だったのだ。

「恐れながら王妃様。陛下の来訪時間を誤って告げたのは私が意図的にやったことです。」
「どうしてそんなことをしたの？」
「それはお二人にありのままの姿で向き合っていただきたいからです。国王陛下の側近くでお仕えした私が保証します。絶対に陛下はありのままの王妃様を受け止めてくださいます。」
マーゴの説得にフィロメナの瞳が揺れた。
心のなかで葛藤している。
とはいえ、オルランドは既に来てしまっている。
もう顔を作り込む時間はなく、
フィロメナは覚悟を決めるしかなかった。

「マーゴにしてやられたわね。陛下をお待たせするわけにもいかないし、お通しして。」
「はい、王妃様。そのように。」