宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「承知しました。そしてその、、、実は王妃様は現在この王宮にはいらっしゃらなくて、、、」
「ここにいない!?じゃあどこにいるんだ。」
「離宮の方に移られました。今回のことで心身ともに深く傷つかれたようで。その、大変申し上げにくいのですが、王妃様はここから出ていきたいと仰せで、私の方でも説得を試みたのですがお心は変わらずでした。とりあえず国王陛下がお戻りになるまでは離宮で過ごしてほしいとお願いし、納得してもらった次第です。」

オルランドは少なからずショックを受けた。
自分がようやく向き合おうと決意した時に、
彼女は自分に背を向けようとしている。
もう遅すぎたのだろうか。

そんなオルランドの心の内を察してか、
レナートは語気を強めて進言する。
「国王陛下、自分がこんなこと言うのもなんですが、王妃様は本当にお美しくて心の綺麗な素晴らしい方です。大陸広しといえど、なかなかその様な方はいらっしゃいません。絶対に失ってはならない方です。」
レナートの言葉の内には
臣下の域を越えた個人的な感情も入り混じっていたが、
オルランドの背中を押すには十分だった。
宣言通り、
オルランドはフィロメナのいる離宮へと向った。