宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「ふぅーーなんか疲れたな。」
さすがに強行スケジュールで
体力にはそこそこ自信がある自分でも
流石に限界だ。
サレハの輿入れが無事に決まれば
少しは落ち着くだろう。
そうなったら今度こそフィロメナと向き合おう。
どうするのが最善か、
まだ自分の中で答えは出せていないが、
フィロメナと一緒に乗り越えるつもりだ。

そんな決意とともに眠りについた翌日、
アルドレインからの急報が届けられた。

サレハはお見合い相手とウマがあったらしく
朝から上機嫌だ。
オルランドが聞いているかいないかはそっちのけで、
相手のことをあれやこれやと
興奮気味に話してくれる。
おかげでちょっと挨拶を交わしただけの青年の
生い立ちや家族関係に至るまで
すっかり把握できてしまった。
(この様子だと、サレハはもう大丈夫だな。)

そんな朝の穏やかなひと時は
召使がオルランドに差し出した
1通の手紙で終わりを告げることになる。
「至急ご確認いただきたいとのことです。」
召使にそう言われて、
何事かとオルランドは慌てて手紙を読んだ。
手紙の差し出し人は、
アルドレインに残してきたレナートだ。