宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

そして同時にふと気づく。
あのレセプションパーティーの夜、
フィロメナが泣いていたのは
今日と同じことがあったのではないか、と。

フィロメナと話をしていたのは
ドラゴニアの官僚だと分かっている。
マルヴァリスと同じ、
早く子供(王太子)を産めと迫っても
なんら不思議ではない。
ドラゴニアが属国に皇族の娘を送り込むのは
その娘が産んだ子を王位につけて
傀儡にしようという魂胆があるからだ。

ドラゴニアの思惑通りになるのは拒否だが、
子どもを産まないことで
フィロメナがいつまでも侮辱されるのは
オルランドとしても許容できない。
それに、
遅かれ早かれ王位継承者となる王子が必要なのは
オルランドも同じだ。
フィロメナにそれとなく話を振ってみたが
フィロメナの答えはまさかのNO。
これには内心、
オルランドも落ち込んだ。
しかもフィロメナは自分と離婚して
新しい王妃を迎えるよう提案してくるではないか。

震えるような声色から
彼女の本音ではないのだろうと察するが
彼女と自分の前には
こんなにも壁があるのかと愕然として
それ以上何も言うことはできなかった。