オルランドはたまたま見てしまったのだ。
フィロメナが男性に連れ出されて
バルコニーに出るところを。
そしてその後、
レナートが二人の話を盗み聞きするかのように
バルコニーの入り口に身を寄せているのも。
そうなるとオルランド自身も気になって
レナートに気づかれないように
カーテンの陰に隠れて
自身も聞き耳をたてた。
けれど風に乗って聞こえてくる声だけでは
何を言っているかまでは分からない。
やがて男の方が去り、
バルコニーにはフィロメナだけが残された。
彼女の瞳からは静かに、
けれど止めどなく涙が流れている。
(一体、何を言われたんだ。)
さすがにオルランドも動揺した。
いつも無表情が基本のフィロメナが
泣いているなんて・・・
理由がなんであれ、
妻が泣いている時は
優しく慰めてあげるのが夫だろう。
そう思ったものの、
盗み聞きしていたのかと思われるのも
バツが悪くて躊躇していると
レナートが代わりに動いた。
フィロメナに声をかけ、
ハンカチを差し出す。
そして2人で何やら言葉を交わし、
フィロメナは涙に濡れた顔に
笑みを浮かべていた。
その笑顔にオルランドは胸がざわつく。
今までに感じたことのない類のものだ。
心からの笑顔じゃないことだけは
オルランドにも分かる。
悲しみを必死に隠そうとするかのような
そんな笑顔だった。
フィロメナが男性に連れ出されて
バルコニーに出るところを。
そしてその後、
レナートが二人の話を盗み聞きするかのように
バルコニーの入り口に身を寄せているのも。
そうなるとオルランド自身も気になって
レナートに気づかれないように
カーテンの陰に隠れて
自身も聞き耳をたてた。
けれど風に乗って聞こえてくる声だけでは
何を言っているかまでは分からない。
やがて男の方が去り、
バルコニーにはフィロメナだけが残された。
彼女の瞳からは静かに、
けれど止めどなく涙が流れている。
(一体、何を言われたんだ。)
さすがにオルランドも動揺した。
いつも無表情が基本のフィロメナが
泣いているなんて・・・
理由がなんであれ、
妻が泣いている時は
優しく慰めてあげるのが夫だろう。
そう思ったものの、
盗み聞きしていたのかと思われるのも
バツが悪くて躊躇していると
レナートが代わりに動いた。
フィロメナに声をかけ、
ハンカチを差し出す。
そして2人で何やら言葉を交わし、
フィロメナは涙に濡れた顔に
笑みを浮かべていた。
その笑顔にオルランドは胸がざわつく。
今までに感じたことのない類のものだ。
心からの笑顔じゃないことだけは
オルランドにも分かる。
悲しみを必死に隠そうとするかのような
そんな笑顔だった。



