フィロメナを抱きとめたのはレナートだった。
オルランドの側近であるレナートは
いつもであればオルランドに同行して
ヴァリニア王国へ向かっていただろうが
フィロメナを案じるオルランドの意を汲んで
宮廷に残っていた。
王太后のサロンから
女達の叫び声がすると部下から聞いたレナートは
フィロメナに何かあったのではと
嫌な胸騒ぎがしたため、
執務を放り出して
王太后のサロンへと直行したのだった。
嫌な予感というのは当たるもので、
駆けつけたレナートの目に飛び込んできたのは
バランスを崩したフィロメナが
階段から転がり落ちる姿だった。
頭より先に身体が反応し、
レナートはフィロメナの身体を受け止める。
出血こそないものの、
まともに打ちつけたのだろう、
右目の周りに青いアザが広がっているし、
左腕が不自然な方向に曲がっていた。
「おい、待てっ。そこを動くな!」
責任を問われることを恐れたのか、
その場から逃げようとする令嬢たちに
レナートは声を荒げる。
細かいことは分からないが
王妃をこのような目に合わせておいて
逃げるなど許さない。
衛兵に指示して一人残らず拘束させる。
騒ぎを聞きつけて集まってきたやじ馬たちから
フィロメナを隠すように
自分のジャケットを被せて抱きかかえると
全速力でフィロメナの居室へと急いだ。
オルランドの側近であるレナートは
いつもであればオルランドに同行して
ヴァリニア王国へ向かっていただろうが
フィロメナを案じるオルランドの意を汲んで
宮廷に残っていた。
王太后のサロンから
女達の叫び声がすると部下から聞いたレナートは
フィロメナに何かあったのではと
嫌な胸騒ぎがしたため、
執務を放り出して
王太后のサロンへと直行したのだった。
嫌な予感というのは当たるもので、
駆けつけたレナートの目に飛び込んできたのは
バランスを崩したフィロメナが
階段から転がり落ちる姿だった。
頭より先に身体が反応し、
レナートはフィロメナの身体を受け止める。
出血こそないものの、
まともに打ちつけたのだろう、
右目の周りに青いアザが広がっているし、
左腕が不自然な方向に曲がっていた。
「おい、待てっ。そこを動くな!」
責任を問われることを恐れたのか、
その場から逃げようとする令嬢たちに
レナートは声を荒げる。
細かいことは分からないが
王妃をこのような目に合わせておいて
逃げるなど許さない。
衛兵に指示して一人残らず拘束させる。
騒ぎを聞きつけて集まってきたやじ馬たちから
フィロメナを隠すように
自分のジャケットを被せて抱きかかえると
全速力でフィロメナの居室へと急いだ。



